パリに革命の火が燃え上がる。ルーシーと結ばれて幸せな生活を送るダーニーに、かつての忠実な召使いから救いを求める手紙が……。大革命を挟む激動の時代を背景に描く、ディケンズの作品中最も名高い大作。

「人間は遊ぶ存在である」。人間のもろもろのはたらき、生活行為の本質、人間存在の根源的な様態は何かとの問いに、二十世紀最大の文化史家が確信した結論がここにある。文化人類学と歴史学を綻合する雄大な構想で論...

平安期の大歌人、紀貫之が侍女になりすまし、帰京の旅をかな文字で綴った紀行文学の名作。国司の任期を終えて京へ戻る船旅は長く苦しい日々の連続であった。土佐の人々に温かく見送られ出発したものの、天候不順で船...

近代日本最大の啓蒙思想家・福澤諭吉の大ベストセラー『学問のすすめ』。本書は歯切れのよい原書のリズムをいかしつつ、文語を口語に移した現代語訳である。国家と個人の関係を見つめ、世のために働くことで自分自身...

総ルビつきの原文、中野孝次のわかりやすく、かつ洞察に満ちた現代語訳、そして共鳴する想いを込めた深く真摯な解説が、平家と源氏が争った時代を生きた鴨長明の肉声を今の時代に鮮やかに蘇らせる。大地震、大火、大...

二十七年間の戦争は何をもたらせたか。制海権争覇をかけてアテナイとスパルタが争ったペロポネソス戦争を、かくも冷静に観察した男。

なぜ男は女を求め、女は男を求めるのか? 愛の神エロスとは何なのか? 悲劇詩人アガトンの優勝を祝う飲み会に集まったソクラテスほか6人の才人たちが、即席でエロスを賛美する演説を披瀝しあう。プラトン哲学の神...

日清戦争から十年―じりじりと南下する巨大な軍事国家ロシアの脅威に、日本は恐れおののいた。「戦争はありえない。なぜならば私が欲しないから」とロシア皇帝ニコライ二世はいった。しかし、両国の激突はもはや避け...

広大な大地と海に囲まれ、正確に季節がめぐるアラスカ。1978年に初めて降り立った時から、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々。その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や開拓時代にやっ...

騎士道物語に夢中になりすぎた郷士とその従者の荒唐無稽な話と思われがちなこの長編古典『ドン・キホーテ』を、ふたりの人間性に焦点をあてて真の面白さを浮き彫りにした画期的な編集。