岩波文庫

「一敗地に塗れたからといって、それがどうしたというのだ?すべてが失われたわけではない」かつては神にめでられた大天使、今は反逆のとが故に暗黒の淵におとされ...
サタンの言葉巧みな誘惑に屈したイーヴはついに禁断の木の実を口にする。アダムもまた共に亡びることを決意して木の実を食う。人類の祖をして創造主に叛かしめると...
斬新な語りの手法と構成で、新しい文学表現に挑んだフォークナー(一八九七‐一九六二)の最初の代表作。語り手たちの内的世界のかなたに、アメリカ南部を舞台とし...
コンプソン家の現在を描き、物語にいっそうの奥行きを与える後半。「奇蹟が起きた」と言われるこの作品の成立によって、フォークナー独自の創造世界は大きく開花し...
戦争は何故起り、何をもたらすのか。ギリシアの総大将アガメムノーンは、ついにトロイアーの都イーリオンを攻略し、帰還した。しかしその朝、彼を待ち受けていたの...
『老年について』の姉妹篇として書かれた対話篇。古代ローマの政治家で賢者の誉れ高いラエリウスが、無二の親友であった小スキーピオーを喪った動揺さめやらぬ中で...
無類の話し好き――『英雄伝』をもしのぐ厖大な随筆・論考を残した文人プルタルコス(後1―2世紀)の人となりは一口でそう言ってよい。快活で嬉々とした筆致、ふ...
南ロシアの5月、美しく咲いた桜の園に5年ぶりに帰ってきた当主ラネーフスカヤ夫人。思い出に浸る彼女を喜び迎える屋敷の人びと。しかし、広大な領地はすでに抵当...
オイディプスが先王殺害犯人の探索を烈しい呪いの言葉とともに命ずる発端から恐るべき真相発見の破局へとすべてを集中させてゆく緊密な劇的構成。発端の自信に満ち...
「私は憎しみを共にするのではなく、愛を共にするよう生まれついているのです」――祖国に攻め寄せて倒れた兄の埋葬を、叔父王の命に背き独り行うアンティゴネー。...