![]() | アリストテレス 哲学者 | |||||
「美しいこと」や「正しいこと」には多くの相違やゆらぎがあると思われており、そのためそうした美しいことや正しいことは、ただ単に人々の定めた決まりごとでしかなく、自然本来においては存在しないものだとも思われている。しかし、「善いこと」にもこうした種類のゆらぎがある。そこで、こうしたゆらぎのある題材をもとに語る場合には、真理を大雑把に、そしてその輪郭だけを明らかにすることで満足すべきである。 | ||||||
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![]() | 茨木のり子 詩人 | |||||
青春は美しいというのは、そこを通りすぎて、ふりかえったときに言えることで、青春のさなかは大変苦しく暗いものだと思います。大海でたった一人もがいているような。さまざまな可能性がひしめきあって、どれが本当の自分なのかわからないし、海のものとも山のものともわからないし、からだのほうは盲目的に発達してゆくし、心のほうはそれに追いつけず我ながら幼稚っぽいしで。ありあまる活力と意気消沈とがせめぎあって、生涯で一番ドラマチックな季節です。自分をつかむという、難事業中の難事業のとっぱなですから途方にくれるのも無理からぬこと。どんな時代にも、青春期にハンドルを切りそこなう人が多いのは、たしかに危険なカーブ、なかなかの難所であることがわかります。 | ||||||
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![]() | エリザベス・キューブラー・ロス 医師 | |||||
今まで出会った中で最も美しいと感じたのは、挫折や苦しみ、誰かを失う悲しみを経験し、そこから這い上がってきた人。彼女たちは人生を本当に理解している。人の儚さ、他人とより良い関係を築くためには相手を尊重し、常に優しく、そして愛情深くあることが重要だということを噛みしめて生きている。美は1日にして成らずなのよ。 | ||||||
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![]() | 太宰治 小説家 | |||||
孤島の波打際(なみうちぎわ)に、美しい人魚があつまり、うっとりとその笛の音に耳を傾けている。もし彼女が、ひとめその笛の音の主の姿を見たならば、きゃっと叫んで悶絶(もんぜつ)するに違いない。芸術家はそれゆえ、自分のからだをひた隠しに隠して、ただその笛の音だけを吹き送る。ここに芸術家の悲惨な孤独の宿命もあるのだし、芸術の身を切られるような真の美しさ、気高さ、えい何と言ったらいいのか、つまり芸術さ、そいつが在るのだ。 | ||||||
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![]() | プラトン 哲学者 | |||||
(民主主義は)様々の国制のなかでも、いちばん美しい国制かもしれないね。ちょうど、あらゆる華やかな色彩をほどこされた色とりどりの着物のように、この国制も、あらゆる習俗によって多彩にいろどられているので、この上なく美しく見えるだろう。そしてたぶん、ちょうど多彩の模様を見て感心する子供や女たちと同じように、この国制を最も美しい国制であると判定する人々も、さぞ多いことだろう。ここでは、国事に乗り出して政治活動をする者が、どのような仕事と生き方をしていた人であろうと、そんなことはいっこうに気にも留められず、ただ大衆に好意をもっていると言いさえすれば、それだけで尊敬されるお国柄なのだ。国民の魂はすっかり軟らかく敏感になって、ほんのちょっとでも抑圧が課せられると、もう腹を立てて我慢ができないようになるのだ。というのは、彼らは君も知るとおり、最後には法律をさえも、書かれた法であれ書かれざる法であれ、省みないようになるからだ。絶対にどのような主人をも、自分の上に戴くまいとしてね。 | ||||||
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![]() | マザー・テレサ 宗教家 | |||||
私は愛情のすべてを注ぎ、できる限りの世話をしました。そしてベッドに寝かせてあげた時、彼女は私の手を取り、美しく微笑んだのです。こんなに美しい笑顔を、私はそれまでに見たことがありませんでした。「ありがとうございました」彼女はそうひとこと言って、静かに息を引き取ったのです。そんな彼女の死を目の当たりにして、私は自分に問いかけてみました。「私が彼女だったら、どうだろう?」私は正直に答えを出してみました。「人の気を惹こうとして、「痛い」とか「お腹が空いた」とか「死にそうだ」とか言ってしまうかもしれない、、、。 | ||||||
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![]() | アリストテレス 哲学者 | |||||
「頭のよさ」と呼ばれる能力がある。これは、設定された目標へと向かうのに必要な事柄を遂行して、目標を達成することができる能力である。それゆえ、目標が美しい場合は頭のよさは賞讃されるが、目標が劣悪な場合には、それは「ずる賢さ」でしかない。われわれが思慮深い人のこともずる賢い人のことも「頭のよい人」と言うのは、このためである。 | ||||||
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![]() | エミール・オーギュスト・シャルティエ(アラン) 哲学者 | |||||
もしも人間が憎悪がもとでやっているすべてのことを、愛によって行なうことにふと気づいたとしたら、つまり、そういう愛と憎悪とが混ざったもの、それが人間であり、好意であり、制作なのだが、その中からいつも美しいもの、愛すべきものを選ぶようになったとしたら、大いなる進歩であろう。それこそ、悪しきものを抑えることのできるもっとも強力な手段である。 | ||||||
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![]() | デール・カーネギー 作家 | |||||
憎しみは、ほかのどんなものよりもエネルギーを消耗する。その消耗のひどさは、重労働よりも、病気よりも、ちゃんと理由があって心配する場合よりも、はるかにはなはだしい。だから憎しみの炎が自分の体の中へ入ってきたら、すぐさま消すことだ。その代わりに美しい考えを入れてやろう。われわれの精力は神から授かった貴重なものだから、価値のあるものだけに費やさねばならぬ。 | ||||||
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![]() | 瀬戸内寂聴 小説家 | |||||
お釈迦様は「この世は苦だ」とおっしゃいました。お釈迦様は国が戦争するのも、自分の国が滅ぼされるのも見ました。人間の嫌なところを見て、自分が可愛がっていた弟子がどんどん死んで孤独を味わいました。それでも、最後の遊行の旅に出られたとき「この世は美しい。人の命は甘美なるものだ」とおっしゃいました。この世に対する全肯定、人に対する全肯定です。お釈迦様がこうおっしゃったのだから、この世は美しく、人の命は甘美なのだと私は信じます。私たちはもっともっと楽観的に生きていい。私はそう思っています。 | ||||||
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