![]() | 塩野七生 作家 | |||||
ディオクレティアヌスは、 専従にすることで責任感をもたせ 任務も充分に果させようと考えて、 ローマ帝国後期を特色づける この制度をつくったのであろう。 しかし人間とは、一つの組織に帰属するのに慣れ 責任をもたせられることによって、 他の分野からの干渉を 嫌うようになるものなのである。 そして、干渉を嫌う態度とは、 自分も他者に干渉しないやり方につながる。 自分も干渉しない以上は 他者からの干渉も排除する、というわけだ。 この考え方が、自らの属す組織の肥大化に つながっていくのも当然であった。 干渉、ないしは助けを求める必要、 に迫られないよう、 いかに今は無用の長物であろうと 人でも部署でも保持しておく、であるのだから。ディオクレティアヌスが意図していた以上に、 彼の考えに立って組織されたローマ帝国後期の 官僚機構が肥大化してしまったのも、 この種の組織が内包する性質に 原因があったのではないかと思う。 “専従”とは、効率面のみを考えれば 実に合理的なシステムに見えるが、 深い落とし穴が隠されているのである。 | ||||||
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